スープを飲んだ後、花音はすぐに仕事へ行くための支度をする。メイクなどのおしゃれも欠かさない。おしゃれには気を抜きたくないのだ。

「さて、そろそろ家を出ないとね」

花音が時計を見てそう言った刹那、スマホに電話がかかってくる。表示された名前を見て、花音はため息をつきたくなった。日本での過去を思い出してしまう。

そこには、「うらら」と表示されていた。うららは花音の妹で美容師として働いている。

花音は無視をし続けていたが、いつまでもスマホは鳴り響いている。花音は仕方なく電話に出た。

「はい」

「お姉ちゃん!やっと出た〜!!」

のん気にそう言ううららに、花音は大きなため息をつく。今すぐ電話を切りたくてたまらない。

「私、これから仕事なんだけど……」

「待ってよ!すぐ終わるからさ〜」

「何の用?」

「お姉ちゃん、私と智紀(ともき)さんの結婚式に欠席するって来てるんだけど……」

「うん、私はあんたたちの結婚式には行かない」