無邪気な彼女の恋模様

「鍵、さ…。」

ふいに波多野さんが呟くように言う。
そういえば鍵を忘れてるって、手渡されていた。

「あの、これ私の鍵じゃないです。」

カバンの中を探したら定位置に入っていた自分の家の鍵。
波多野さんから手渡された鍵は、全然違うタイプの鍵だった。
その鍵を波多野さんへ差し出す。

「うん、これ俺んちの鍵。」

「え?」

「水戸に家バレしたんだったら、俺んちに住めばいいじゃん。」

「えっ?」

えええっ?
言われた意味がさっぱりわからなくて、私は首をかしげる。
どういうこと?
波多野さんを見ると、ほんのり頬が赤くなっている気が…ってもしかして照れているの?
いやいや、え?どういうこと?

「この、鈍感。」

頭にいっぱい疑問符が飛ぶ私の頬を、波多野さんはむにっと引っ張った。

「いい加減気づけよ、バカ百瀬。」

「うへぇ~、ひはひへふ。」

「だから、一緒に住もうって言ってんの。」

一緒に…住もう?
誰が?
誰と?
私が?
波多野さんと?

頭が理解をし始めたとたん、カアッと体の芯から熱くなった。

「えっ、えっ、それって、ええー!」