「ワークルームの仕事どう?」

ラーメンをすすりながら、波多野さんが聞いた。
ワークルームの仕事を始めてかれこれ二ヶ月近く経とうとしている。

「結局水戸さんとペアになっちゃったんだけど、何とか頑張ってますよー。結構仲良くやってるかな。私順応性高いかも!」

得意顔でガッツポーズをすると、波多野さんは呆れた顔で大きなため息をついた。

「お前、水戸には気を付けろって言っただろう。」

「だって一番下っ派の私には意見する余地なんてないんですもーん。」

そうなのだ。
平均年齢五十歳のおじさんたちの中に、二十二歳の若者は私ただひとり。
木村さんも若そうだけど、ワークルームには来ないし。
そうなると俄然私の立場は弱くなる。
それにもう水戸さんとペアになっちゃったしその状態でここまでやってきているのだから、今さら何をどう変えるというのだ。
このまま頑張ってやるしかないじゃないか。

「いざとなったら木村さんに相談するから大丈夫ですよ。」

ワークルームのリーダーは木村さんだからね。
何かあったら木村さんに相談でしょ。

「無理すんなよ。」

波多野さんはため息混じりにそう言うと、私の頭をポンポンとした。

とたんに私は動揺だ。
波多野さん、そういうのは反則だっていつもいってるじゃない。(心の中で)
勝手にドキドキしちゃう胸を抑えながら、それを隠すために私は言う。

「何か今日波多野さん優しい。熱でもあります?」

「はいはい。早くラーメン食べろよ。昼休み終わっちゃうぞ。」

「あっ。やばいっ!」

腕時計で時間を確認してから、私は残りのラーメンをかけこんだ。