目覚ましの音が鳴って目を覚ます。眠気と戦いながらジャージに着替えて部屋を出た。寮の階段をいつもよりゆっくり降りて食堂に入ると、そこには既に自分以外の劇団員が揃っていた。

晃「蓮、おはよ」
「ん…今日みんななんで早いの?」
晃「だって今日決めるじゃん、合同公演のメンバー」

そーだった。すっかり忘れてた。

晃「さては忘れてた?」
「うん」
晃「やっぱりか」

俺が入っているこの劇団『魁』は地元では知らない人の方が少ないと言われる、ちょっと名の知れた劇団だ。劇団内では4つのグループに分けられ、恋愛劇の『LOVER』、喜劇の『I』、アクション劇の『for』、悲劇の『eyes』となっている。それぞれメンバーが6人いて、グループの中のリーダーのもと、稽古に励んでいる。

俺はアクション劇を担当とするforに所属していて、先程から話している晃もforの1人。全寮制のここでは相部屋で、結構仲良い。

晃「合同公演って、まだ蓮やったことないんじゃね?」
「うん、いっつもハズレ引くもん」