さっきまでの重たい体が噓みたいに軽く街を進んでいく。


私はついさっきまでの会話を思い出していた。




「ねえ、春斗、どうして弱音を吐かずにいられるの?」


「急だなぁ彩らしいけど。そうだな、つらくてもしんどくても僕には彩がいて、ちょっと心配性な母さんもいるし。」


そう言って穏やかに笑う表情がとても好きだ。


「彩はいっつも元気で、たまにから回りして、でも、そんなふうにいつも笑顔な彩がいてくれると、がんばろうって思えるし、毎日楽しいんだ。」



こんなにも優しくて、こんなにもきれいな笑顔を見せるのは春斗だけだ。



「もう、空回りしてないし!それにほら、急げば回れっていうじゃないっ」



うんうんと首を振る。


春斗が噴き出して、くすくすと笑う。


私がすねて、なにさって言ってみる。


「急がば回れ。でしょ?」


私の頭を優しくなでてくれる。











こんな彼が、私は大好きなんだ。