その日は、彼の誕生日だった。


わたしはお見舞いの帰りで、途中で彼のお母さんから電話があって



急いで病院に引き返すところだった。



ぽつぽつとした雨がアスファルトを濡らして黒く染めていく。



雨に打たれて体の外側がひえていく。


なのに、走っているせいなのか、緊張しているせいなのか


私の心臓はバクバクと耳に響いて体をあつくしていく。



間に合って欲しい。



連れ戻して、まだ、まだ言いたいことがある。



生きて・・。



涙の粒が雨と一緒に地面におちた。