その日から、私たちは少しずつ話すようになった。



実は、読んでる本のジャンルが結構似てることがわかって、この本のここが面白いとかにあの本のここに感動したとか、感想を言い合えるようになった。




でも、私が読む本のジャンルの中で、彼が唯一読まないジャンルがある。




それは、恋愛系。




「なんで?」




と聞くと、




「恋愛小説ってさ、絶対誰かが苦しい思いしてるじゃん。それが自分に感じられて、辛くなる」




「自分に感じる?」




「俺、好きな人いるんだけど、その人、他に好きな人いるっぽくて。いつか自分も失恋の苦しみを味わうんだなって思ったら読めなくなった。」