私は思い切って声をかけた。



「あの、岡本くん!」



振り返ったキミは



「なに?」



と、いつものぶっきらぼうな感じで言う。



話せて嬉しいのと、熱で具合が悪いのとで赤くなっている顔を誤魔化すように、下を向きながら言う。



「あの、私、熱があるので早退するんです。選択科目の時の鍵当番、お願いしてもいいですか?」




でも、お願いするのに下を向いてちゃダメだから、顔を上げて彼を見た。




緊張すると敬語になる癖、なかなか治らないなあ。




返事がないことに不安になっていると、彼が口を開いた。





「いいよ。てか、さっさと帰れ。顔真っ赤だぞ。」





心配してくれたのが嬉しくて、熱が上がったんじゃないかなって思ったほど。