PM・21:00


更に六時間が経過した。

未だに救助は来ない。窓越しに見える外の風景はもう真っ暗だ。

もっとも窓のすぐ外は校舎の木で覆われている為、明るい間も何も見えなかったけど。

秋人は神崎さんが定期的に励ましてくれるおかげか、あれからすっかり大人しかった。

秋人は頭は切れるけど、その反面感情的になりやすい。

この場にザ・女神の神崎さんが居てくれなかったらと思うとゾッとする。

ロッカーから見つかった食料は、あまりに怪しいので最初は手を付けなかった。

だが空腹に耐えかねた綾瀬が食べてしまい、『超美味しい!』と太鼓判を押したので僕らは人生初の保存食の食事を取った。

「綾瀬。たくさんあるからって食べ過ぎだぞ」



僕が注意すると、綾瀬は桃の缶詰を食べながらモゴモゴと答える。

「だってこれも超美味しいんだもん! それに食べるくらいしか楽しみがないし……」

「それはそうだけど……」



こんな状況なのに本当に能天気な奴だ。

隣では秋人が何とも味気ない缶パンを黙々とかじり、神崎さんは野菜スープを行儀よく口に運んでいる。

机や椅子は並べず、あえて適当に床で食事を取った。

そうすることで無意識に、いつまでもここで暮らさなくてはならないんじゃないか……という脅迫観念から逃れようとしたのかもしれない。