「奈波……信じてくれ。僕はどっちも失いたくない。人生で初めて出来た大切な人も、人生を変えるこの大きなチャンスも。だから僕はどっちも守ってみせる。約束するよ」



僕は奈波の手が絡みつく自分の腕を引き、スマホに指を向ける。

「ダメ! お願い、やめて!」



だけど、奈波はそんな僕を必死に止めようとする。

どうして分かってくれないのか……もがく彼女の腕の中で、僕は怒りがこみ上げた。

僕はもう以前の自分と違うんだ。

彼らを殺めたこの穢れた体も、君がさっき浄化してくれたじゃないか。

なのにどうして信じてくれないの?

奈波まで……オレノジャマヲスルノカ⁉

「放せよ!」



僕は強引に彼女の手を振り払い、『許可』ボタンを押した。

「勇樹! 危ない!」



同時にバランス崩して僕は後ろの塀に向かって倒れ、後頭部に重い衝撃が走って――



世界は、降り積もる雪より白く染まった。