私達は時間を忘れて話し続けた


恥ずかしくてなかなか顔を見られなかった私の話を、颯太はずっと向き合って聞いてくれた
それも嬉しかったけど
何より颯太との話はすごく楽しかった



「千夜が飼ってた犬ってどんな感じの子だったの?」


「マロンって名前で名前のまんまの栗色の毛で、ふわふわモコモコのポメラニアン!」


「へぇー!それ絶対かわいい子だね
写真とかないの??」


颯太は私の目を見て頷いて話を聞いてくれる


「あるよ!」




私はポケットの中のスマホを探した、けど全然見つからなくて、カーディガンのポケットも何回も探したけどスマホは見つからない


…あ、そう言えば病室置きっぱなしで出てきちゃったんだ


「…忘れてきちゃった」


話が途切れてショックで俯く私に颯太は
何倍も嬉しい言葉をくれた
私からは絶対言えない言葉


「じゃあ次会った時に見せてよ!」




え!?次…!?
そんな事言うと思わなかった
嬉しくて私は体が前のめりになった


「次!?次も会えるの!?」


「当たり前だよ、こんなに話が合うのに千夜に会いに来ないのは勿体ないと思わない?」


「う、うんそうだね!…また会えるね」


サラッと恥ずかしいこと言うなぁ
天然人たらしなのかな...?


「また会えるよ!」


颯太はとびっきりの笑顔で私の真似して
前のめりで答えた


「私の真似したなぁ!笑」


また会えるんだ…


凄く嬉しい、めちゃくちゃ嬉しい


颯太が私の名前を呼んでくれる度に

胸がドキドキした




次も会いたい、なんて簡単な言葉
どうして私から言えないんだろう...
初めての体験で、ただドキドキする胸に気づかれないようにするのに必死だった