「………!」
言葉が出なかった
そこには柔らかい光でライトアップされた
1本の大きな桜の木があった
柔らかい風で桜の花びらが揺れていて
木の大きな幹の足元には、桜の花びらが
芝生の上でピンクのレースみたいに散っている
生命力を感じる大きな太い幹
立派に花を咲かせる桜に私は目を奪われた
話によると、この大きな桜の木は、病院ができた時からずっとあるらしい
「…っすごい…すごい!」
「その顔!俺見たかったんだ」
よほど誰かに話したかったのか
ずっと我慢してた!って感じで
すごく嬉しそうに話してくれた
彼は桜の木の周りにあるベンチの近くに
私の車椅子を止めて
ふぅ、とため息をついてベンチに腰をかけた
「ありがとうございます!ここまで押してもらって」
「いーえ!」
彼は感謝に欲を持たないみたい
『ただ桜を見て欲しい』
その気持ちだけで私の車椅子を押してくれた
自分の興味のあることや、直感で感じたことを沢山話してくれる
「この桜の木、見るだけで
生きてるっていうなんか強いパワー感じるんだよね、何かある度俺はこの桜を1人で見に来てるんだ」
桜の木を見上げて、彼は話始めた
月の光に照らされた彼の横顔が
とても綺麗に見えた
「へぇー、そうなんですね」
私も桜を見上げ直して、頷きながら答えた
ぼーっと桜を見ていると
彼が何も話さなくなったから
なんとなく横を見た
「……うわっ!」
振り返ったら目の前に彼の顔がある
鼻がぶつかりそうなくらいの距離にあった
彼の整った顔が、私の胸をドキドキさせた
「名前は?」
…なんだそんな事か、びっくりしたぁ
…全然掴めなくて宇宙人みたい
「千夜です!漢数字の千に、夜で千夜!」
「千夜かー、綺麗な名前だね、お母さんがつけてくれたの?」
「……はい」
思わぬ所でママのことを思い出して
また気分が落ち込む
「お母さんとなんかあったって分かりやすいね千夜ちゃんは」
この柔らかい空気を一瞬で破壊しそうだったから、急いで話題を変えた
「えっ…えっと、あ!そうだお名前は??」
分かりやすすぎた?話変えたの
彼はくすくす笑ってる
「笑逸らすの下手だね、颯太、立に風って書いたやつと太いって漢字」
「いや、説明が独特笑」
「だって他の読み方分かんないんだよ」
颯太さんがブーブー言ってるのがおもしろくて
また自然と笑顔になる
「颯太さんと居ると、なんて言うかふにゃってなるなぁ」
「どゆことだよ笑」
またブーブー言ってる
でもまた表情がころっと変わって
わんこみたいな笑顔に戻る
「あ!千夜ちゃん歳いくつ?」
「まだ高一ですけどもうすぐ高二の16歳です!」
「俺は、高校三年生の17歳」
やっぱり年上なんだ
でも校則とかないのかな…?
もっと年上と思った
「不良とか思ってる?」
「い、いやそんなことはないけど…」
「本当に正直だねすぐ顔に出る笑」
颯太さんは寂しそうな顔をした
笑ってるけど私には分かった
「いや!そんなこと思ってないです!
ただ綺麗な金髪だけど、校則どうなってるんだろうとか、怒られないのかなーとかだから、不良とか思ってないです!どっちかって言うと.......
昔飼ってたわんこに似てるんです!」
慌てて弁明をしたら弾丸トークで話してしまった
颯太さんはポカーンと口を開けて固まってる
「ごめんなさいっ!悪口じゃないです、髪の毛ふわふわだからちょっと思っただけなんです!」
「...笑なるほど、そんなこと言われたことないかびっくりしちゃったよ」
颯太さんは優しい
こんなこと言っても全く怒らない、美奈にも言われたけどすぐ余計な事言っちゃうから
誰かと話すの気にしちゃうんだよね
でも颯汰さんと話してると、自分の感じてる世界さえ包み込んでくれる気がする
「最近学校行ってないから、行ってない時やれる事したくてさ、染めたの!だから怒られないよ」
すごく綺麗な金髪だけど、この髪で学校に行った多分停学になる、腑に落ちた
「ていうか!さんなしで!タメ口で!
せっかく病院で初めてできた友達だから
変な距離感とか嫌だよ」
最後の言葉で急に真剣な顔になってドキッとする
「っ.......分かりました」
「.............?」
それタメ口じゃないよねって言う颯太の無言の圧力、どんどん近づいてくる顔を直視出来なくなる
「わわわかった!」
「新種の言葉?笑」
「新種って笑いじらないでよ!笑」
「ごめんごめん笑」
颯太との話はとても楽しくて、こんな幻想的な場所にいると、まるでこの世界に2人だけしかいない、そんな気分になる
私はすっかりママのことを忘れてた、ぽっかり空いた心の穴に颯太が滑り込んでくる、そんな感じがする
言葉が出なかった
そこには柔らかい光でライトアップされた
1本の大きな桜の木があった
柔らかい風で桜の花びらが揺れていて
木の大きな幹の足元には、桜の花びらが
芝生の上でピンクのレースみたいに散っている
生命力を感じる大きな太い幹
立派に花を咲かせる桜に私は目を奪われた
話によると、この大きな桜の木は、病院ができた時からずっとあるらしい
「…っすごい…すごい!」
「その顔!俺見たかったんだ」
よほど誰かに話したかったのか
ずっと我慢してた!って感じで
すごく嬉しそうに話してくれた
彼は桜の木の周りにあるベンチの近くに
私の車椅子を止めて
ふぅ、とため息をついてベンチに腰をかけた
「ありがとうございます!ここまで押してもらって」
「いーえ!」
彼は感謝に欲を持たないみたい
『ただ桜を見て欲しい』
その気持ちだけで私の車椅子を押してくれた
自分の興味のあることや、直感で感じたことを沢山話してくれる
「この桜の木、見るだけで
生きてるっていうなんか強いパワー感じるんだよね、何かある度俺はこの桜を1人で見に来てるんだ」
桜の木を見上げて、彼は話始めた
月の光に照らされた彼の横顔が
とても綺麗に見えた
「へぇー、そうなんですね」
私も桜を見上げ直して、頷きながら答えた
ぼーっと桜を見ていると
彼が何も話さなくなったから
なんとなく横を見た
「……うわっ!」
振り返ったら目の前に彼の顔がある
鼻がぶつかりそうなくらいの距離にあった
彼の整った顔が、私の胸をドキドキさせた
「名前は?」
…なんだそんな事か、びっくりしたぁ
…全然掴めなくて宇宙人みたい
「千夜です!漢数字の千に、夜で千夜!」
「千夜かー、綺麗な名前だね、お母さんがつけてくれたの?」
「……はい」
思わぬ所でママのことを思い出して
また気分が落ち込む
「お母さんとなんかあったって分かりやすいね千夜ちゃんは」
この柔らかい空気を一瞬で破壊しそうだったから、急いで話題を変えた
「えっ…えっと、あ!そうだお名前は??」
分かりやすすぎた?話変えたの
彼はくすくす笑ってる
「笑逸らすの下手だね、颯太、立に風って書いたやつと太いって漢字」
「いや、説明が独特笑」
「だって他の読み方分かんないんだよ」
颯太さんがブーブー言ってるのがおもしろくて
また自然と笑顔になる
「颯太さんと居ると、なんて言うかふにゃってなるなぁ」
「どゆことだよ笑」
またブーブー言ってる
でもまた表情がころっと変わって
わんこみたいな笑顔に戻る
「あ!千夜ちゃん歳いくつ?」
「まだ高一ですけどもうすぐ高二の16歳です!」
「俺は、高校三年生の17歳」
やっぱり年上なんだ
でも校則とかないのかな…?
もっと年上と思った
「不良とか思ってる?」
「い、いやそんなことはないけど…」
「本当に正直だねすぐ顔に出る笑」
颯太さんは寂しそうな顔をした
笑ってるけど私には分かった
「いや!そんなこと思ってないです!
ただ綺麗な金髪だけど、校則どうなってるんだろうとか、怒られないのかなーとかだから、不良とか思ってないです!どっちかって言うと.......
昔飼ってたわんこに似てるんです!」
慌てて弁明をしたら弾丸トークで話してしまった
颯太さんはポカーンと口を開けて固まってる
「ごめんなさいっ!悪口じゃないです、髪の毛ふわふわだからちょっと思っただけなんです!」
「...笑なるほど、そんなこと言われたことないかびっくりしちゃったよ」
颯太さんは優しい
こんなこと言っても全く怒らない、美奈にも言われたけどすぐ余計な事言っちゃうから
誰かと話すの気にしちゃうんだよね
でも颯汰さんと話してると、自分の感じてる世界さえ包み込んでくれる気がする
「最近学校行ってないから、行ってない時やれる事したくてさ、染めたの!だから怒られないよ」
すごく綺麗な金髪だけど、この髪で学校に行った多分停学になる、腑に落ちた
「ていうか!さんなしで!タメ口で!
せっかく病院で初めてできた友達だから
変な距離感とか嫌だよ」
最後の言葉で急に真剣な顔になってドキッとする
「っ.......分かりました」
「.............?」
それタメ口じゃないよねって言う颯太の無言の圧力、どんどん近づいてくる顔を直視出来なくなる
「わわわかった!」
「新種の言葉?笑」
「新種って笑いじらないでよ!笑」
「ごめんごめん笑」
颯太との話はとても楽しくて、こんな幻想的な場所にいると、まるでこの世界に2人だけしかいない、そんな気分になる
私はすっかりママのことを忘れてた、ぽっかり空いた心の穴に颯太が滑り込んでくる、そんな感じがする
