「ほら~!席に着けーーー!!!」

ざわついていた教室の中で気が付けば数学の先生が教卓の前で叫んでいた。


この先生の名前なんだっけ……


そんなことを考えながら、周りを見ると教科書を机の上に出している人達もいて、私も真似て、ルーズリーフが挟んであるファイルと教科書を机の上に出した。


午後の授業が始まると共に、一斉に皆、机の上に顔を伏せる。


そんな中、ちゃんとシャーペンを手に取り、真っすぐ向いて先生の話に頷いている生徒もいて……


どんな状況だろうが、授業は止まることなく淡々と進む。


「はぁ~」と大きくため息をついたが、それすらもかき消されるほど、周りはざわついていて、こんなのが3年も続くのかと思うとやっぱり自信もなければ嫌気もさす。


この学校から大学や専門学校へ進学しようとする生徒はいるのだろうか

新天地に選んだこの開成高校に通う生徒はみんな行き先を知らない旅の乗客のよう。

夢を持ってこの学校の門をくぐった子より、親に泣かれどうかせめて高校だけは行きなさいと、言われて来た子たちが大半だという印象だ。


自然と視線を橋本流奈の方へ流してみたけど、もちろん彼女は後者の方だろうし、完全に顔も伏せている。

でもその姿を見れば、完全に爆睡している様子で、授業から逃れたいという感じではなく、完全に寝に来てると言っても過言ではない。


私はファイルを開くと、1枚のルーズリーフを取り出し半分に折り目をつけ半分に切った。