知り合いが1人もいない高校へ入学して
隣の席の木本としか
まともに会話したことがなく

まだこの高校で女友達が出来ていない

木本は中学から一緒の男友達と
お昼休憩を過ごしていた


クラスを見渡したが
1人で過ごしてる女子はいなくて


私は昼休みの時間ポツリと一人になった。

けど、そんな私を気にする者も、もうこの高校にはいない。


ブルルルルーーーー。


ポケットから小刻みに震えている携帯を取り出すと、画面には"新着メールあり"と親切に私に知らせてくれていた。

《今、昼休憩だよ~奈月はご飯食べたの?》

それを開くと彼氏の春樹からで、ホッとする自分がいる。

《うん、食べたよ!》

《高校は?どんな感じ?》

そのメールを見た瞬間、辺りを見回した。

決して楽しいわけでもなく、描いていたものでもない。

《まあまあかな》

そう、色んな気持ちをその一言にまとめると、送信ボタンを押す。

《慣れるまで1人で寂しいかもしれないけど俺がついてるからな!頑張れ》

《ありがとう♡》

《週末ゆっくり会おうな》

その返信に一瞬だけ指が止まる。


私はきっと彼に会いたいと思ったことなんてないないかもしれない、なんて一瞬だけそんなことを思いながら、

《うん!仕事頑張って!》

そう送信したと共にチャイムが鳴り響き携帯を閉じた。


周りを見渡せば慌てて席に着こうとする者もいれば、気にせず大声をあげながら笑ってる人達もいたり……

廊下で騒いでいる者もいる。


私はただ、その光景をまるで違う世界にいるような感じで見つめていた。