「同じ中学の子何人かはこの高校受けたんじゃないの?」

ぶっきらぼうで、とっつきにくいタイプだし、私とは正反対であろう不良女、流奈は淡々と話かけてくる

「私しか受けてない」

「なんで、わざわざ地元から遠いこの高校にしたの?」

なぜ、初対面の私に色々問いてくるのか分からなかったが、なんだかまんざらでもない自分もいる。

「新しい友達欲しかったの」

そんな風にサラッと自分の口から出た言葉に「それだけ?」と不思議そうに返答が返ってきて、「そう!あとスカートはチェック柄が良かった」なんて私が答えたら彼女は少しだけクスッと笑った。


「あの………さ……」

私が口を開いた瞬間に「あ!流奈!探したよ!ご飯食べよ〜!」なんて、気安く彼女に話しかけてきた子は、きっと同じ中学の友達なんだと一瞬で思った。


「おっけー!行こう、じゃあ」と私だけを鏡の前に残し、彼女は友達の方へと駆け寄って行った。


自分が写し出されている鏡をじっと見つめた。

ほんの数分の奇妙な光景

ほんの数分の鏡越しの会話


それでも、なんだか少し心が和んだ気がした。


初対面が印象悪かっただけに、警戒していたものの、話してみれば不思議な感覚だけを私に残し、目の前からさっさと消えて行った。


小さくため息を吐き出し、鏡越しの自分に笑って見せる。


「ご飯でも食べるか」


お昼休みで賑わう、騒がしい廊下をかき分けながら私は自分のクラスの席に戻り、早々と母親が作ってくれたヘルシーなお弁当を開けた。