入学式は金曜に行われた為、週末を挟んだ生徒たちは、見事に気が緩んでいた。


「おはようございます」そう中島先生が大きな声で話していた朝の挨拶も周りの騒がしさでかき消され、HRが終わったことすらまるで知らなかったような感じで


気が付けば1時間目の授業が始まっていた。


わずかに英語の教科書を机の上に開いている生徒がいる辺りを見ると、きっと英語の時間なのだななんて思い、そしてこの人が英語の先生なのであろうとも思った。


黒板には、淡々と先生が英文を書いていて、それをノートに書き写している生徒も数え切れるくらいいた。

後ろの席の方はきっと先生の声など聞こえては来ないだろう。


冷静に周りを見渡しながらも、私は隣の席の木本と仲良く話していた。


「内田さんは、何かバイトする?」

「ガソリンスタンドかな?木本君は?」

「俺もスタンド予定!ちょ待って!君づけ気持ち悪いからやめて」

「わかったよ木本!」

「おっ、いきなりだなっ!!」

ケラケラと笑う木本を見るなり、この人は悪そうな人ではないなと、自分の中で安パイの〇を付けた。