家族で乗り越えなければならない時
父は彼女がいるようだった
そのことで母と父はよく喧嘩をしているのを知っている。
子供には聞こえないように気を使って
夫婦の寝室で話しているのだろうが
夜中、母の罵声が聞こえてきた。
「このプレゼントは誰に買ったものよ?」
「うるせーな」
「あの女でしょ?」
「うるせーって言ってんだよ!」
泣きじゃくる声がドアから漏れていた。
父が母に手を挙げていることは
この鳴き声で分かる
私はその声に心を痛めていた。
父は母を裏切ったのだ……。
こんなに頑張ってる母を。
こんな最低な男をそれでも母は、心から愛していた
どんなに理不尽に手を挙げられても
別れるという選択肢はなかった
私はこんな最低な喧嘩を耳にするくらいなら
いっそのこと別れて欲しかった。



