「ただいまぁ~!!」


その声に返答などなかった。
でもそれも、もう慣れている。

私の10個下の妹、亜紀は大病を患っていて

母は車で片道1時間かけ毎日面会に行っている。

だから私と3個上の姉めぐみは順番で家族の夕飯の支度やお風呂掃除など家事の手伝いをしなければならない。

たまに友達ともっと遊んでいたい


話していたい……。


そんな願望もありながら


どうにも仕方ない現実がここにあったのだ。


いつ退院出来るのか
いつその病気が治るのか……?


私とめぐみにはきちんと説明はされていなかった。


ずっとモヤモヤした感情のまま過ごす日々


亜紀が入院する前の写真を見るたび
胸が痛む……。


早く家に帰ってきてほしい
家族みんなで揃いたい

ただそう願ってるだけしかできなかった


そして、シンクにある大量の茶碗を洗うため、ワイシャツが濡れないように腕をまくり上げた。