ざわざわしている中、窓際の一番後ろの席だった私は、右隣の席の男子と挨拶を交わした。
髪が肩につきそうなロングヘアで、サーフィンをしてそうな日焼け肌の彼。
「はじめまして!おれ木本!よろしく」
「私、奈月!よろしくね」
私達は、少し照れくさそうに微笑み合うと、初々しい爽やかな会話を楽しんでいた。
きっと15歳同士が初対面に出会えばこんな会話から普通はスタートするのであろうと私は思っていた。
朝1番に気だるそうに話しかけてきて、あっさり去っていった流奈という女はやっぱり失礼に思えてきたのだった。
再び思い出し、不愉快にもなっていながら、不良女の方へ視線を流せば、机にカバンを置きそれを枕代わりにしてうつ伏せ寝をしている。
私の席は真ん中の列で前から2番目。
それなのに入学式そうそう、堂々と寝ていて、それは爆睡しているとしか思えない。
どうやら、不良女はきっと自ら進学を望んでいたんじゃないのだろうな、と、朝から不愉快にさせられた女のことを少しだけ考えていた。
その時、高校生活初めての終わりのチャイムが鳴り響く……
中学とは少し違うそのチャイムは新鮮さを感じさせていて、高校生になれたのだなと実感したりもする瞬間……。
そんな私とは裏腹にチャイムが鳴ったのにピクリとも動かない不良女
その前の席のひかりっていう女の子が起こしてやっとHRが終わっていることに気がついていて顔を上げキョロキョロしている。
そんな私の入学式初日は、朝から不愉快な気持ちにさせられ、人間観察をいう1日で学校が終わった。



