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「ねぇ、陽平……?」

「ん?なに?」

「お願いがあるの……まだまだ先のことなんだけど」

「なんだよ、言えよ~」

「陽平の第2ボタン私にください!!」

「はっ?あははは!!!本当に奈月って変なやつだよな~」

「私、本気だもん!!陽平は人気だから絶対に後輩に取られる!!!」

「わ~かったよ、必ずお前にやる!!」

「必ず?」

「ああ、絶対っ!!!」

「なら約束ね!!」

「おう、約束な」

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「絶対……約束……」


陽平は、こんな私との約束を守ってくれた。

第2ボタンの裏には小さく汚い字だがしっかりと
卒業する西暦とイニシャルを残してくれていた。

「もう、バカ……最後までかっこいいじゃんか」

溢れだす涙、それでも握っていた手のひらを開けば私の顔は笑顔がこぼれていた。

「陽平らしい……」

それを宝石箱に入れると私は、暫く見つめていた。

私はその宝石箱を手に取ると、バルコニーへと飛び出す。



卒業式のこの日は、雲ひとつない晴天

まるで海のような、何とも言えない色をしていた。

青空を見ながら私は願っていた



"神さまがいるならもう一度あの綺麗な瞳に戻してあげてください"


傷つけてしまった彼の幸せをただ、願うばかりだった



卒業式の日

私の1つの恋はやっと終わりをつげれる気がした


違う、終わらせよう


シャボン玉のように淡い恋

「陽平ありがとう、新しい土地で新しい自分と生きていくね」

青空に向かって話しかけるように少し微笑んだ



『おう!頑張れよ』


きっと陽平なら、そう言ってくれてくれるような気がして……


その瞬間、優しいさわやかな風が吹いて私の髪がなびいていた。