「ねぇ、奈月開けるよ」

「んっ……」

目を開けると、目の前にはめぐみが立っていて、迷惑そうな顔をしている。


「なに?」

「おとうが怒鳴っているの聞こえなかった?聞こえないか、寝てるなら」

そう言いながら、私の部屋を後にすると、リビングの方へと耳を傾ける。

「おい!!!奈月っ!!聞こえてないのか!!」

その怒鳴り声にベッドから体を起こすと、起きたばかりの頭が上手く回転してくれていなくて。今の状況が一体なんなのか分からずにいる。


「はいはい、今行くから」


重い腰を上げると、部屋からでてリビングへと向かった。


「なに?」

そこには父親と母親が揃って私を見つめていて、その瞬間「お前いい加減にしろ!!」という声と共に、頬に酷い衝撃が走った。


この痛みが一体なんなのか、その状況を理解するのに酷く時間がかかったけど、一つ言えることは、どうやら目の前の父親は憤怒に狂気めいている。

そんな父親を「お父さんやめて!!」と一生懸命止めている母親。

それを振り払って再び父親の手のひらが私の頬をおもいきりはらう、あまりの振り幅で私は少し体が浮きよろけて膝をついたまま動けなくなった。


今日は一体なんなんだろう

殴られた頬がじんわりと熱を帯びていて、そこにそっと触れた。