きっと美香は本気で命を断とうなんて思ったわけじゃない

私を引き止める為に言ったことだって言うことは重々承知している。



だけど私の前で"死"を簡単に口にした美香を二度と許すことはないだろう


美香との今までの思い出はこれっぽっちもいらない

親友でもなければもう友達でもない


そんな人間と話し合う必要はない


私は噂話が大好きな女友達なんてものもいらないし、親友なんて固い絆は、もっといらない


そんなことを独り呟きながら、私は速足で家路へと向かう。


両親が家に着くまで夕飯の準備をしなきゃいけない。


今の私に出来ることはそれくらいしかないのだから


帰りに近所のスーパーに寄って今日は簡単に早く出来るものにしようと、カレーの材料を慣れた手つきでカゴにいれると、少しだけ気が晴れた。


「よし!!」

スーパーから出ると材料を抱え、私は家へ駆け足で帰った。