カーテンの隙間から朝日が差し込んできて目を細めた。

私は少し寝ていたのだろうか……

今日も1日の始まりを教えてくれたのはいいけど、それもまた憂鬱なのだ。

クローゼットにかかっている制服に手を伸ばして、パジャマを脱ぎ捨てると恒例のようにそれに身を包む。


洗面所に行き、自分が映し出された顔を見るなりげんなりした。

いつからこんなに生きていない目をしているのだろうか。

目の下にはしっかりクマが出来ていて、思わず自分の顔を静かに両手で包んだ。


どれだけ笑っていないのだろう……

目の前に映し出された自分の姿に問いかけながら、顔を洗い歯磨きをすますと、リビングへ向かう。


「おはよ」

「おはよう、奈月朝ごはんは?」


朝から何もなかったかのようにキッチンに立ち朝食を作っている母親の背中を見て、どうしたらそんなに頑張れるのだろうと不思議に思う。

ダイニングテーブルで、それこそ何もなかったかのように、母親の作った朝食を新聞を読みながら口に運んでる父親を見て、苛立ちさえ募る。

「いらない、たまにはお母さんゆっくりしなね」

あえて父親はの当てつけのように、そう吐き捨てると


「行ってきます」と言いながら、今日もまた果たしてこの先生きていく上で必要か分からない文学を学ぶ学校へ行くために家を出た。