「おまたせ」

「今日は?勝ったの?」

迎えにきた彼氏に『会いたかったぁ…』なんて言葉は勿論なくてパチンコで勝ったのか、負けたのかが私には重要だった。

「あのバッグ買って欲しいな」

「いいけど、この前のは?」

「大切に使ってるよ」

ニコッと微笑んでは、助手席から窓の外を見つめる。

毎回するおねだり

いつからか私は欲だらけな人間になってしまった。


外食に連れてってもらい食欲をみたす

スポーツのように1日に何度もするSEXをし体を満たす。

感情が入らないSEXは目を閉じて無になればいい。相手がはてるのを、待ってるだけ。


失った何かを埋めるように必死に毎日同じことを繰り返す。

「ねぇ、奈月?聞いてる?」

「あ、なに?」

「最近の奈月さ、なんだか刺々しい気がする」

「そう?別にそんなことないよ」


そう、なぜだか埋まらないんだ。

どこにいても、誰といても、いつからか毎日が過ぎていくことだけを願っている。


それなのに、夜になれば不眠症というものが私を襲ってきて、次第に寝れないことにイライラするようになり、誰にも優しくすることすら出来ない自分がいた。


どこにいても苛立ちばかりが募る。

どんどん自分が自分でなくなり壊れていく……


もうきっと私は前の自分には戻れない、そうどこかで確信していた。