今朝来た陽平とは想像もつかないくらいに可愛い笑顔で笑っている。
ご飯を炊くのを失敗した時、みんなの前でかばってくれたりしたっけな……
いつも太陽みたいに明るくて
私をすごく想ってくれた人
優しい人
楽しい人
どうしようもないくらい好きになった人
一番傷つけてしまった人
すべて陽平だった
もうきっと、こんな笑顔は見れないんだ
目の前の脱色した風景に耐え切れなくなり、抑えきれない感情が込み上げてきて私はトイレへ駆け込んだ。
目に焼き付いてしまったキャンプの日の陽平の笑顔が鮮明に思い出される。
胸がギューっと締め付けられて苦しくて
どうしたら私はこの苦しさから解放されるのだろうと不安にまでなってしまうくらいに……
「ねぇ、奈月?どうしたの?体調悪いの?」
こんな時、心底ほおっておいて欲しいと思ってしまう。
「大丈夫だよ、先に教室に戻ってて~」
一人にして欲しかった、もう出来ることなら、今までの記憶を消してほしいと思いながら、その場にしゃがみ込んだ。
結局私は、キャンプの写真をその後、一度も見に行くこともなく、もちろん一枚も買うこともなかった。