目の前で繰り広げられる、母と叔父の雑談。


"早く帰りたい"

お母さんは私が何をされていたか全く気づいていない。

こっそりと後ろから服を引っ張り 「お腹すいた」そう呟くと、


お母さんは「今日も本当にありがとうございました」と私の手をひき「またお願いします」と付け加えた。


その瞬間、叔父さんが私を見て微笑む……

お母さんと繋がっている手に力が入るのが幼い自分でもよく分かった。


それでも、私は、お父さんにもお母さんにも誰にも言えなかった。

こんなことが分かったら、きっとお父さんは叔父さんを殺してしまうだろう。


そしたら、家族みんなが苦しんでしまう。


それなら私が一人、苦しむだけでいいと……。

幼な心に植え付けられた我慢と苦しみ……

いつか必ず開放されると、私はこの夢の中の出来事には蓋をしよう……

そう誓うと同時に私の全てが壊れてしまった瞬間だった。


後戻りが出来ないところまでーーーーー。