ピンポーン!ピンポーン!!
そのチャイム音が鳴ると、その人はどんな時でも慌てて儀式を止め私に着替えさせてくれる。
そのチャイムの音が鳴ることをいつしか待ちわびていて、それまでの時間は果たしてどれくらいだったのかなんて私には分からなかった。
「は~い」
何もなかったかのように私を抱っこすると、玄関まで連れて行く。
「今日も奈月がお世話になりましたー」
息を切らしたお母さんが妹を抱っこしながら迎えにきて、笑顔で頭をさげる。
「いいえ、今日もとてもいい子だったよ、ね、奈月ちゃん」
「ほら、奈月、おじさんにお礼は?」
「…………」
「奈月、ほらっ……」
どうして?そう何度もお母さんに聞いてみたかった。
私はどうして、おじさんにお礼を言わなきゃいけないの?
そうずっと聞きたかった。
「眠いんだよね、奈月ちゃん」
そう笑顔で私に微笑みかけるおじさん、私は思い切り目を瞑る。
妹が生まれ母は忙しくなり、お姉ちゃんは習い事や友だちと遊びに行ってしまい、度々私は1人でこのおじさんの家に預けられていた。
おじさん……
私に性的なイタズラをする叔父さん。
それはお父さんの実の弟だった。



