その日、私は陽平の部屋にいた。
陽平の親がいない時間を見計らって。
部屋に入り陽平のベッドに腰をかけると、男の子の部屋だとは、到底思えないほど綺麗に整頓されていて、私はびっくりしていた。
大きなテレビに洋楽が流れているコンポ、小さなテーブルにそしてベッド。
「なに?部屋が綺麗で意外だな~なんて思ってんだろ」
ベッドに寝そべりながら、横目で話してくる陽平を見て私は吹き出して笑った。
「その通りっ!!図星も図星だわ!!」
「うるっせ~俺は意外にも綺麗好きなんだわ」
そう言いながらベッドに腰かけていた私を後ろから倒すと、陽平は私の上に跨った。
「え、陽平……もしかして変なこと考えてる?」
「えっ?なに?聞こえねぇ……」
部屋に鳴り響くテンポのいい曲のせいにして、陽平は私の顔に触れた。
「好きだわ、お前の事……」
「知って……る……んっ」
その瞬間、陽平の唇が私の唇に触れ、私の中に陽平の舌が入り込むと私もそれを絡める。
陽平の腕はわたしの首の後ろに回し、むさぼるように私を壊していく……。
大きな手が、私の体に触れていく……
真っすぐ、反らすことのない陽平の綺麗な瞳……
その瞳を見ているだけでとろけてしまいそうになるこの感覚……
「んっ……」
「奈月、その声……いやらしい……我慢できねぇ……」
その言葉と共に、ベッドの上で激しいキスが繰り返され、次第に陽平の体の体重が私の上に乗っかっていた。
私たちはゆっくりと、お互いの体温の中に落ちていく……
二人の欲望が絡み合い流れ込む……
「陽平……私も好き……」
大きな背中にしっかりと回した私の腕に力が入っていく。
「ありがとう、奈月……大切にする……」
その瞬間、陽平の体の重さが私から離れ、温かい大きな手で、私の顔を撫で、髪の毛を撫でるとおでこにキスをしてくれた。
私まっすぐ見ているその優しくて綺麗な瞳の眼差し。
「大切にしたいから、俺……」
そう言うと、おもいっきり抱きしめてくれた。
陽平に抱きしめて貰うたびに、私は幸せを感じながらふと心の中で違和感を抱いていた。



