もう後戻りはしない確かなぬくもりが風に感じられた。

夏を知らせてくれてる心地よい風、爽やかな匂い……


"会いたい"そう思ってこの公園に来たのは初めてで、いつもとどこか違う場所に来たかのように感じる。

「え…お、おう!!内田っ!!」

私にすぐ気づいた陽平はどこかびっくりしていて、でも凄く嬉しそうなのが真っすぐに伝わってきた。

「来ちゃった」


来たかった……のが相応しいがそんなこと言えるはずもなく、陽平の近くにあるベンチに視線をおとした。

昨日降った雨で公園の木のベンチは湿っている。


「おう!内田!ここに座れよ」それを悟ったのか陽平は自分のスケボーを指さした。

「え!スケボーの上に?やだよ!汚いじゃん」

「はー?なんだよ、汚いって……」

小さな声でブツブツいいながら自分のリュックからタオルを出すと、それをスケボーのボードの上にかけ手招きする。


「はい!これで座れるっしょ」

「イェーイ!!特等席っサンキュー」


凄く嬉しかった、陽平が私を女の子扱いしてくれること、ほんの少しの気遣いが今の私にはキュンキュンさせる。


陽平は、色んなネタを持っていて私を笑わせる、時折、空を見上げて思い切り息を吸ったりしながら……。