"あ……まただ……"


最近、よく感じる視線。

気付きながらも、気づかないふりをしているが、いい加減それも通用しないほど真っすぐでそして強い視線を感じてる。


ーー木村陽平ーー


その彼が人気者でモテているのも周りの女の子の騒ぎようを見ていればよく知っている。
その木村陽平が気になっている人がどうやら私らしいというのだから、なんとも言えない気持ちになる。


「ねぇ、奈月はどうなのよ」

「何が?」

「陽平だよ」

1番仲が良い美香が、陽平の方に視線を送りながら私にニコニコしながら聞いてくる。

「ああ、残念ながらタイプじゃないんだよね」

「ふぅ~ん、もったいなっ」

その瞬間、口を膨らませて横目で私を見ている。

そんなこと言われても、タイプじゃない人を好きになれと言う方が拷問過ぎると思うのだけど。


実は……

私には中学1年生の頃から片思いをしている人がいる…

陽平と仲良しのサッカー部に所属しているの"聡"いう男の子

だけど、聡には同じ学年でテニス部に彼女がいることも知っている。
昼休みになると、毎日彼女と一緒に過ごしている幸せそうな顔を密かに見ている私。

かと言って私の聡への思いは変わることはない。



だから私は陽平ではなく、陽平の隣にいた聡をいつも見ていたんだ。