それから月日は流れーーー

華はすくすくと大きくなり
幼稚園に入学した頃にはしっかりとお話が出来るようになっていた。

優しく穏やかな性格の夫と、明るく活発な娘との生活は、毎日が新鮮だった。


「ママ〜!ご飯お代わり〜!」

「華は、ほんと良く食べるね〜お口にご飯粒がくっついてるよ」

「沢山食べるところはパパとそっくりねっ!」

主人の少しぷよぷよしてきたお腹を横目で見ながら吹き出し笑いをしていた。

「華は、嬉しいよねー?パパとそっくりで」

目の前に座っている娘に前のめりになりながら問いかける主人は、まるで恋人を見る眼差しで微笑んでいる。

「はなは、ママがいいー」

「えー!!」

目をまん丸にした主人は私と目が合うと思い切り笑っていた。


「そんな事いうと、ママにチュ~しちゃうぞ~」なんて言い出すと、娘はコクンと頷き主人が私のほっぺにちゅっとすると華は恥ずかしそうに笑っていた。


私が欲しかった豊かな感情、見たかった景色を手に入れていた。

幸せがたまに怖くなることもあるけど
子供を出産してから私の見る景色や世界が180度変わったのだ。


娘の成長を楽しみながら私も必死に良き母親になろうとして、華と一緒に成長させてもらっていた。