"ちくしょ!!!"
怒りがこみ上げてきて自分の太ももにめがけて拳を振りかざした。
鈍い音と共に何度も何度も叩きつけた。
悔しくて苦しくてどうにかなりそうなのを自ら痛みを与えて感情を無理やり押さえつけようとして、何度も何度も繰り返す。
それでも気持ちがおさまることなんてなくて、気が付けば雑誌を部屋の隅に向けて投げつけた。
目に入る雑誌を全て……
そうしていくうちに、だんだんと自分の中で何かがプツリと切れ始めて、誰かと喧嘩しているように暴れ出す。
衣装ケースを上から順番に開けると、洋服を部屋中に投げつけ始める。
ここに来て稼いだお金で買った洋服たちやバッグ
それが無残なものへと変わっていく……
「こんなもん要らない!!!私が欲しかったのは……物じゃない!!」
どんなに暴れても、大声を張り上げても、泣きわめいても、昔みたいに父親や母親、めぐみが『うるさい!!』と怒鳴り散らしにくることもなければ止めてくれる人達もいない。
「もう、いや……」
私の呼吸が落ち着きだした頃、見事に部屋中に洋服が散乱していて、私はその洋服の絨毯の上で放心状態になりながらも、目線の先に転がっていた陽平の第二ボタンを見ながら声を上げて泣いた。



