シャワーから出てもなんだか今日は体が凄く重い。
朝までクラブに居たせいなのか
あの男に不愉快にさせられたせいなのか
それとも、あの不快な夢のせいか……。
それでも今日は、出勤の日ではないことに胸を撫で下ろす。
髪の毛を乾かしながらベッド脇にある、小さいテーブルの上に無造作に置かれている携帯がメールの受信を知らせていてくれていた。
それを確認しようと、手を伸ばし携帯に触れた瞬間、ガチャン!!と私の目の前から携帯が消えた。
「うわっっやっちったー、最悪だ」
手から携帯が滑り落ち慌てて取ろうとしたら再び手に当たりその反動でベッドの下へ入ってしまった。
手を入れ込み、携帯を探すと、いつからかここにあったか分からないリップクリーム
「なんだこれきったな…」
その後に発見したのは、縦横20センチほどの正方形の白いシンプル小さな箱で埃も被り少し箱にへこみもあったりしていて、少々劣化している。
ベッドの下には色々なものが落ちているもんだ
3回目にやっと手に触れたのが携帯でそれを掴んだ
小さなテーブルの上に次はゆっくりと携帯を置いた。
肝心な携帯を確認しようという動作などもちろん忘れていて、先程取り上げた白い小さな箱を手に取るとそれを見つめる。
あまり見覚えはないが、ここにあるのだ確かに私のものだろう。
座り直し、小さな箱をそっと開けるとその中から木箱が出てきた。
"あ!これは………!!!"
間違いなく私のものだった、見た瞬間に思い出した。
これは確か小学6年生の時、そう卒業前、授業の一環として制作したもの。
長方形の形をした木製の箱。
天板は厚めなので、自分で好きにデザイン画を下書きして、彫刻刀で彫っていき色付けをしていく。
天板と本体の箱を固定する為の取り付けのネジ二本は、すでに穴が空いている場所に細いネジを差し込みドライバーを回せば蓋付きの箱が完成する。
そう宝箱なのだ。
"久しぶりーーー"私はまるで幼馴染と数年ぶりの再会した時のような、くすぐったさがこみ上げてきた。
月日と共にその存在すら忘れて去られてる箱ではあったが、久々に対面したメモリアルグッヅは私をすごく懐かしい気持ちにさせてくれた。