少女より先に出て、ささっと着替えるとロッカーの近くで少女を待機していた。

どうやら、本当に一人なのだろう。
そこにも母親らしき人物はいなくて、どうしてもロッカー近くで少女を待っていると不快に思える。

その時、大きな壁掛け時計が鳴り始めた

心地のよいオルゴールの音が脱衣室に響いていて、私はその音色を知っていたのでオルゴール音に合わせて鼻歌を歌っていた。

すると、少女がやってきてきたかと思えば座って髪の毛を乾かし始める。

その姿を確認すると私は、自動販売機に行きリンゴジュースを買い「はい、どうぞ飲んで」そう笑いながら鏡の前にそっと置くと、またコクンと頷いた。

脱衣所で少女はお風呂場にいた時と違って少し明るい表情をしているように見えた。

「ねぇ?いつもあんな洗い方するの?」

「……………。」

私は表情を見逃さないように少女の顔を覗き込むと下を向き目をまったく合わせようとしていなかった。なぜか私はその事がひっかかり、余計なお世話だと思いながらアドバイスした。

「もっと軽くで大丈夫だからね。」

下を向いたままの少女は小さい消えそうな声で

「気持ち悪くって」その一言をもらす。

「!!?」

私は何が気持ち悪いのか全く理解ができずに何も返せずにいると、今にも消えてしまいそうな声で呟いた。

「わたしの体ね……洗っても洗っても汚れが落ちてないような気がして気持ち悪いの」

「そんなことないよ!そんなことない!!!」

私は少女の事を何も知らないのに大きな声を出して言い放った時

私は目が覚めた。


それは夢だったーーーー

銭湯なんて行っていなくて私はいつも通り寮のベッドで寝ていたんだ。