3万だって?私の体……。
売春させる気?馬鹿にしないで。
口止め料の金?慰謝料?
そんなお金なんていらない、お金なんて私は欲しくない
女子高生に詰められて情けなく惨めな男
一度も謝りもしない最低な人間
大人失格
そう思ったが、泣きそうになってるおじさんをみて楽しんでいる私こそ最低で、もしかしたら人間失格だったのかもしれない。
確かに、いけないことをしたのは目の前のおじさんかもしれない。
だけど、目の前の大人を笑いながら追い詰め馬鹿にした態度の私は何かに取り憑かれてしまったみたいだった。
「おじさんさ、お金はもっと大事な事に使わなきゃ」
私はさっき振り払った地面に落ちているお金を拾い上げそれを顔の目の前まで見せつける。
「えっ、ちょっ、奈月……」
そう詩織がびっくりして私を見つめた時には、その男の目の前で、ゆっくりとビリビリにお金を破いてた。
「お金、ありがとう。ちゃんと使わせて貰ったよ」
その瞬間、顔にめがけて投げつけた。
目は大きく見開き、唖然とした顔をみて私は笑っていた。
笑いがこみ上げていきて、止まらなかった。
「もうここら辺歩かないでね。もし見かけたら、警察呼ぶから」そう捨て台詞を吐くと「詩織、ごめんね行こう」と私は詩織を引っ張り早歩きでその場から立ち去った。
私はきっと悪魔にでもなってしまったのだろう。
こんなことをしても、どんなに相手が泣いて詫びいても、恐怖心で震えようとも、もう何とも心は痛まないのだ。
性欲に負けたこの人を叔父と重ねてしまったのだろうか
分からなかった。
叔父が普通に家庭があって今呑気に生活してるんだなんて、悔しくって憎い。
あんな事した人は罰を受けるべき人間なはずなのに。
小さい頃、パトカーに乗せられている人を見て『私も乗ってみたい♪』なんて言ったとき母親に『悪いことをするとね、警察に捕まるの、そうゆう時にのせられるのよ』って教えられたのに。
叔父はパトカーには乗らないんだ……
って、小さい頃ずっと思っていたんだ。
おばあちゃん
空から見てるの?なら神様にお願いしてよ。
あの人に罪を償わせてください。



