「は…?やめてくれ?そっちから言ってきたくせに!せっかく 穏便に済ませたかったのに、じゃあ今から警察いく?」
「行こっか!お、じ、さ、ん!!」私は立ち上がり、おじさんの腕を引っ張る。
おじさんは汗をかきながら、おもいっきり私の手を振りほどく……
酷い汗だ、きっと色んな事を考えいるのだろう。
結婚指輪をしている左手にはハンカチをぎゅうっと握っていて、小刻みに震えている。
奥さんにバレる…
会社にバレる…
ざまあみろと、心の中で笑っている私は冷たい眼差しで、哀れな目で、おじさんを見下ろしていた。
「こ、こ、これで勘弁してくれっ!!!」
おじさんは、頑なに放さなかったバッグから、財布を取り差すと私に突き出してきた。
「は?」
「金が欲しいだろ?」
その一言を聞いた瞬間、怒りで一気に体が熱くなるのを感じた。
「ふざけんな」そう絞り出した声はもはや震えていて、私は再びおじさんの腕を掴むと、お金を握っているその手を叩きつけた。
お金はひらひらと地面に落ちていく……
その瞬間、私を見上げたおじさんの顔を見ると、酷く脅えていた。
私は、おじさんに向かって満面の笑みを見せた。
汗鼻水流して登り着いたあんたのその地位壊してやるよ。
金?笑わせないで....
笑わせんなよ……



