ベンチに座っていると、見た目は40歳代くらいの
一人のおじさんがすぐ横に座ってきて、間隔がやたら狭かったため少し横にズレようとしていた。
横に視線を自然と流すと、おじさんは私を見つめながらニヤニヤしていて、一瞬で目を反らす……
その瞬間、下を向いている私の顔の前に三本の指を立てながら、不快な笑みを浮かべている。
無視をし続けると「お姉ちゃんどう?」と耳元で囁いている。
その瞬間、私は微笑を浮かべた瞬間、思い切り睨みつけた。
「奈月~ごめ~ん!!!」
その時待ち合わせしていた友達の詩織が駆け寄ってきて、私の顔を隣にいるおじさんの顔を交互に見つめている。
「え、どうしたの?」
その瞬間、私はおじさんの腕を掴んだ。
「免許書だしなよ」
「え、っ、ちょっ……奈月っ!!え?誰?この人知り合い?じゃ……ないよね」
「逃げないように捕まえたの、もちろん知らないよ、こんな奴」
私は駆け寄ってきた詩織にこの一連の流れを説明しているとだんだん憎しみと怒りがどんどんこみ上げてきてるのを感じていた。
「このおじさん、3万で援助交際しない?って」
「はぁ〜?超最低~!ってかまじでキモーい」
「あのさぁ…おじさん!さっきから言ってるけど免許証だして?住所、誕生日、名前全部控えるから」
私に掴まれた腕を振り払うと、持っていた鞄を力を込めて抱え、頑なに渡そうともしない。
「やめてくれ…頼む……勘弁してくれ」
「……はい?なに言っちゃってんの?」
その瞬間、私の中で何かが切れたのが分かった。



