不思議なことがある
物心がついて、ニュースを見ながらだんだんと自分がされていたことを理解し始めた時、いつも不思議だった。
なぜ人は刺し殺したら殺人罪となり裁かれ、時に死刑になったりするのに
自分の欲望だけのために、幼い子供に無理やりした性犯罪では死刑にはならないのだろうか?
私は死にたいくらい辛かったし
心は死んだ
私は苦しんで生きてきた
たった一人の男の欲望を満たすために
それは簡単に、一瞬で心を殺された
親にはもちろん
誰にも言えずたった一人で苦しんだんだ
なぜ私は、ずっと背負い苦しみ続けなきゃいけないの?
きっといつかは消えてなくなるの?
ずっと抱えていた疑問
だけど分からなかった。
人の心理というものが気になり、心理学の本を読んでみてもやっぱり分からなかった
なぜ私があんな事をされたのか。
陽平と離れた後から自分が納得できる答えをずっと探して生きて来たんだ。
辛いことは時間が解決してくれるってよく言うけど
そんなのは嘘だった
自身に起こる出来事は全てに意味があるなんて
そんな人生綺麗事ばかりじゃない。
もしそれが意味あるものだとしたら
叔父が私がした事は、なんの意味を示すのだろうか?
親族に囲まれている食事なんてまったく喉を通すことなんてなく
叔父をただただ見ていた。
一度たりとも目を反らさずに、目の前の犯罪者を私は睨み続けた。
今にも刺してしまいそうで怒りに満ち溢れている私は、もう私ではなくなっていた。



