とにかく逃げたかった
あの場所から、あの声から、あの顔から、あの身体から、あの全てから……。
色んな感情が湧き出てきて、自分が一体どうなってしまっているのかすら分からない。
ただ、トイレのマークが表示されている看板を見つけるとその方向に早歩きをした。
その途端、私の体は急に小刻みに震えだす
体中の血液が全て逆流してしまうのではないのかってほどの恐怖感
そして、ドキドキと心臓が飛び出しそうなほど鼓動を挙げ、息を吸っても吸っても苦しくて、まるで後ろから誰かに首を絞められているような感覚になっていた。
"あれ…わたし……どうしたんだろ"
あと少しでトイレにつきそうな所で私はどんなに息を吸っても苦しくて、呼吸が出来なくなってしまい、そのままそこでしゃがみ込んだ。
"えっっ息が……くるしっ……"
だんだんとその体の異変が恐怖心へと変わっていく
"だ…れ…か……"
私は呼吸をしようと一生懸命吸うが全く肺に入ってこない。
酸素が薄くなり、なんだか頭までもがボーッとしてきて、変な感覚だ。
次第にそれが恐怖心に変わり怖くてたまらなくなる
水の中に無理やり頭を突っ込まれたような苦しさで前のめりになり膝をついたまま動けなくなっていた。
"死んじゃう…"
怖くて怖くて息を整えようとしても窒息してしまうんではないかという恐怖心に襲われて、そのまま私は意識を失った。
「大丈夫?気づいたかしら……」
気が付いたら、私は過呼吸をおこして、意識を失い倒れていたらしい。
それに葬儀屋さんが気付いてくれて抱えながら、控え室へと連れて行ってくれたみたいだ。
「おばあちゃん亡くなられて辛いですね」
「………。」
「大丈夫、よくあるのよ、こうゆうこと。だから心配しなくて大丈夫よ」
その葬儀屋さんの言葉で、色んなことが鮮明に蘇ってくる。
私はなぜこうなったのか理解できずにいた。
そうかおばあちゃんの死を受け入れようと、体が苦しみだしたのだろう。
きっと、そう。
悲しすぎて身体がおかしくなってしまったんだ。
周りの人から私は、かわいそうなお孫さん……
辛いだろうに……
そんな眼差しだった。
同情の目を向けられていた。
だけど、私は分かってしまったんだ……
私がこうなってしまった本当の理由をーーーー。