葬儀が行われる為、私たちはおばあちゃんちへ向かった。


私は、久々に訪れた地に懐かしさを感じながらも
切ない気持ちでいっぱいだった。

「あ……」

久々に会ったおじいちゃんもまた酷く憔悴しきっていて、その悲しい表情を見るのは辛く目を反らしてしまう自分がいた。


おじいちゃんはもう数年前から少しずつ体調を崩しがちで、おばあちゃんはそんなおじいちゃんにほとんど付きっ切りだった。

大変だったはずに違いない、お互い共に歳をとって行くのだから。

それなのに、おばあちゃんはいつもおじいちゃんに寄り添いニコニコしてて幸せそうだった。

いつかみんな命の灯が消えてしまう。

それはいつなのか、誰も知らなくて、でも必ず全ての人が死に向かって生きている。

人の命は儚いものだ……。

遺影写真を見ると、そこには変わらずにこやかな表情のおばあちゃん。

祭壇に飾られお花に囲まれてるおばあちゃんは、とても綺麗でまるでお花畑にいるようだった。

今にも『奈月……』なんて優しい声をかけてくれるんじゃないかって、ただ眠っているようにしか見えなくて、この場にきても、私はまだ信じられなかった。


葬儀場所へ着き、親族みんなが控え室に集まっている中、父は永遠に眠ってしまった自分の母のそばへ行き棺桶の近くでただ顔を眺めていた。

私も控え室には入らず、おばあちゃんの元へ向かった。

「おふくろ……」

父のその眼には涙が溢れていた。

「おばあちゃん、いつも優しかったね」

「あぁ……孫には特に優しかったな」

私は憔悴しきっている父に、こんな言葉しか見当たらずその後は、お互い交わす言葉などなくずっと、父とその場で立ち尽くしていた。


少し顔がこけてしまっているようにも見えるが、本当にただただ眠っているようで…

生前の姿を思い出しているとおばあちゃんは少し微笑んでるようにも見えた。