「どうもありがとうございました」

私に向かって深くお辞儀をするお姉さんは、お店の出る所まで私を送ってくれた。

「こちらこそ、ありがとうございました」

「プレゼント喜ばれるといいですね」その笑顔にまた優しい気持ちになりながら「はい」と答えてお辞儀をした。

右手には綺麗にラッピングされたギフトが高級そうな紙袋に入っている。

少し大人になったような気持ちになりながらも、私は家へと向かう電車へと乗り込んだ。


後少しで家に着く頃、制服のスカートのポケットの中から携帯が小刻みにふるえているのに気がついた。

「ん……」

画面を開けば一つのメールが受信されていた。


[ おばあちゃんが心不全の為亡くなりました。]


えっ…………?


そのメールの文字が心に突き刺さる

一瞬だけ息を吸う事すら忘れて苦しくなりながらも、もう一度画面を見つめる。

何度見ても間違いではなくて、それと同時に周りの音が一瞬で消えていく・・・


そして、右手に持っていた紙袋が手から擦り抜けそうになった瞬間に我に返りながら、それに力が入る。

1分前まで幸せがいっぱいだった私……

いつもより足取りは軽かったはずだったのに


その紙袋から左手に視線を移せば、そこには現実を知らせる携帯の画面は光ったままで……

急に暗い世界に突き落とされた瞬間だった。


まさに天国から地獄へという言葉はこういう時に使うのだろう。

足がすくんでしまいなかなか前に足が動こうとはしてくれず

クラクションを鳴らして、
猛スピードの車が横を走り抜けた時私の足が身を守るために動き出した。

辺りを見渡せば、一年前ここに雄也くんが友夏をバイクに乗せて来てくれた公園にいて、そんな楽しかった時もあったなと、一瞬だけそんなことに浸ってみたりもしたが

誰もいない静かな公園一帯がより一層、悲しみに突き落としていく


携帯で流奈の名前を探し出すと、通話ボタンを押そうとした瞬間、その手は止まった。

暫くして、新規メール作成のボタンを押すと、この悲報をメールで打ち込んだ。

震えている手で、上手く打てないメール
その画面の上に滴が落ちて、私は嗚咽を止めることが出来なかった。