16歳の夏休み、私はバイトに明け暮れた。

一番の稼ぎどきだったし、悲しみに浸ってる可哀想な主人公になんてなりたくなかった

勉強ができない代わりに、とにかく真面目にバイトのシフト表通り働いた。

青春まっさかりの16歳の夏休みは、同じような毎日を繰り返して、あっという間に終わってしまった。


流奈は仕事ばかりだと嘆いていたけど、弱音なんて吐かずに雄也のもと、土方として働いていた。

長い夏休み会うことも連絡とることも少なかったけど、
そんな時こそ、お互いなんもなく普通の日々を送れていることを二人は知っていた。


季節は私の嫌いな秋になったころ、一つの大きな出来事があった。

それは、いつも通りのたわいもない話だろうと1本の電話から始まった。


「妊娠したみたい」


えっーーーーー!!!


携帯をしっかりと握りしめていたはずが、私は一瞬手の力が抜けて電話を落としそうになった。

よく頭が真っ白になるとか、何も言葉が出ないとか言うけど、まさしくこのことなのだろうと感じた。


「えちょっと待って……てか今どこにいる?」

「ちょうど出かけてて今地元の駅にむかってる」

「分かった!今から行くから地元の駅で待ってて」

電話を切るときに何度も名前を確認してしまった自分がいて、その瞬間……何処かで夢でありますようにと少しだけ願ってしまう自分がいた。

電話の相手は、つい最近16歳の誕生日を迎えた流奈だったーーーーー。