両親からプレゼントなんて何一ついらないから
ただ目を見ておめでとうって言って欲しかった
私が何歳になったかちゃんと言って欲しかった


期待するから傷つくことくらい分かっているはずなのに……。


鏡に映る真っ赤な色をした目から、涙が零れ落ちてくる


「私、誕生日なのに……」

私の存在が煙たい存在だってことは自分でも良く分かっている

それでも、私は期待していたんだ

今日くらいは両親の笑顔が見れて、私もありがとうと、いつもごめんね。なんて少しでも素直になれるかもしれないと。


そのまま洗面所から速足で部屋に戻るとベッドに顔を伏せる

「春樹の所に戻りたい!!今すぐ、戻りたい……」

私を必要としてくれる場所へと戻りたい!!!


結局16歳のスタートの日に、私はベッドの上で独り孤独を感じて泣いていた。


私の居場所なんてどこにもない


真っ赤な目をしたウサギ……寂しいと死んでしまう。

果たして人間もあまりにも寂しすぎると、生きていけなくなってしまうのかもしれない……


「いった……」

顔を上げると、ベッドのシーツにネックレスがひっかかっていた。

えっ……、流奈から貰ったネックレス。

私は慌てて、顔を再び伏せると留め具を外した。


絡み合っていたそれをゆっくり解いていく「危なっ……」危うくきれそうになり、それを顔の前まで持ち上げた。

ゆらゆらゆれるネックレス。

「ふふっ……」

その瞬間、このネックレスを選んでくれていただろう姿を想像する

なんだか、やっぱり似合わない光景で笑えて来る

その瞬間、一人じゃないよと流奈の声が聞こえて来る気がする

怒っている顔が想像つく……

傍に居てくれているような気がして、とても心強く見つめているとお守りのように感じていた。


誕生日の夜私はこのネックレスを触りながら、不安な気持ちを落ち着かせるように
"大丈夫"と念じながら、眠りについた。


嬉しさと悲しさが入り混じった16歳の私の誕生日はあっという間に終わった。