「はい!」

そう言いながら陽平は両手を私の目の前に差し出してくれた。

「え?」

手を握るの?

いやそんな、触れることなんて出来ない。
だって私は……

一瞬だけ浮かんだ聡の顔……

それを一瞬でかき消すように陽平は私の手を握った。

"あ……っ!!!"

「あぶねぇから……!!!」

「あっ、ありがと……」


恥ずかしい気持ちでいっぱいで、私の鼓動はただ大きく増すばかりで……

私は、握られた手をそっと握り返した。


彼の手は、大きく温かい……

体温を感じた瞬間、力強くギュッと握る。


陽平の体が横に動き出すと、スケボーに乗ってる私も自然と横に動く……。
スケボーに乗ってることよりも、握られた手の方ばかり集中してしまい、どこに神経を使えばいいのか謎めいている。

それを冷静に保とうとしている自分にも少しだけ笑えてくる。

「わーっ!進んだ〜〜!やっほーい!」

「そりゃそーだ!俺が動かしてるんだから!」

「あはははっ!!!そりゃそうかっ!!」

と、大きな声で笑うと「スケボーに乗れた気分~♩ありがとう!!」と私は大声で喜んだ。

「はいはい!どういたしまして!てか、以外に疲れんな」

「何?私が重いって言いたいの?」

「レディーに向かって酷すぎる~!!!」

そんないつも通りのおちゃらけた会話たち。

私はこの日、計画通り夜抜け出すことに成功し、ドキドキとスリルを味わっている


"夜って最高~!!"

"早く大人になりたいなぁ~"


頭の中でそんな事を考えていた。

路肩を陽平が手をとり、歩きながら私のスケボーが進む。

私がまた、転んだりしないように慎重にゆっくりと……