「なにこれ、ちょー美味しー!クリーム最高に美味しい~!!」

「だろ?友達からここのケーキ屋さん美味しいって聞いて予約しといたんだ」

甘い生クリームが口の中いっぱいに広がる。


ケーキを豪快に頬張る私をみてニコニコしている春樹の視線を感じながら、優しい年上の人と付き合って良かったなぁと心底思っていた。


「あれ?奈月……ネックレス新しいやつ買ったの?」

「これ流奈からのプレゼントなんだ〜似合う?」

私は嬉しそうに流奈がプレゼントしてくれたネックレスを春樹に見せびらかしていた。

もちろん春樹からのプレゼントしてくれたネックレスをつけていないなんて言えなかった私は「今日はこれだけつけてる♪明日からまた春樹から貰ったのもつけるからね!!」

そんなことを言いながら「そんな気を使わなくて平気だよ」なんて春樹は言うことも分かりながら優しく微笑み返した。


わざわざ遠い家まで届けにきてくれたこと

同じようなメールを同じ時間に送ったこと

気が付けば興奮気味に流奈の話を春樹にしていた

そんな私の話を相槌を打ちながら聞いてくれている。

「てか始めてだな……奈月が楽しそうに友達の話してるの」

「え?!んな事ない!」

春樹はニヤニヤしながら私を子ども扱いして「本当に~?」なんて聞きながら覗き込むから急に恥ずかしくなって下を向いた。

「俺は嬉しいよ。そんな奈月を見れて。たまになんていうかな……悲しそうな目をしてるときあるから」

その瞬間、ドクンと胸が高鳴る……

悲しそうな目……

いつも春樹の前では楽しくはしゃいでるつもりが、自然とそんな目になっている自分がいることに分かっているのに胸が痛んだ。

「はーー?全然悲しくなんかないもん!」

口を尖らせてそう言い返した私は嘘つきだった

甘えたくても強がってしまう。

私はほんとうに天邪鬼なんだなと自分を心から不憫に思った。