「奈月!いい加減に起きなさい!遅刻するわよ!」

部屋のドアを勢いよく開ける音、
私に小鳥のさえずが聞こえてくるような爽やかな朝なんてない

携帯のアラーム音か
母に怒鳴りつけられるように起こされるかのどちらかだ。

そんなことより、今日は私の誕生日

せめて『おめでとう』はなくても、もっと心地よく目覚めさせてくれてもいいのに……

と思ったりもしたが、母親の怒りに満ちている顔を見れば期待するだけ無駄だとすぐにそんな期待を自ら壊した。



枕元に転がっている携帯を見るとメールを3件受信していた。

7月13日 0時ちょうどに

"奈月誕生日おめでとう!"春樹からだった。


そして、もう一人は流奈から……


7月12日23時58分

〖奈月生まれてきてくれてありがとう!〗

んっ?7月12日?

あれ、私の誕生日は、13日なのだけど。

〖一番乗りいただき〜〜!フライングの誕生日おめでとう。〗

もう一つ、流奈から入ってきていたメールを見て、誰よりも1番に入れてこようと13日になる直前にあえて送信してきた流奈のフライングの意味を理解した。


んっ……!?


携帯を操作してる手が一度止まり、思い出したかのように私は自分の送信メールを見返す……。


7月12日23時58分

[流奈!生まれてきてくれてありがとう]

私が寝る寸前に入れた流奈へのメール

二人で同じ時間に同じ文を入れている……


えっ???


受信メールを開き、送信メールを開く


そこには確かに流奈から私に

私から流奈へと、同じ時間に同じ分を送っているーーーー


こんなことって……


思わず、電話帳を開き流奈へ電話をかけようとしたが、きっともう仕事に行ってるに違いないと思いながら、携帯を閉じる。

えっ、嘘でしょ……!!


再び携帯を開くとまた同じ行動をする


その瞬間、私は声を出して笑っていた。