「ふふふふ~ん♪ん~んん~♪」

玄関を入るなり、鼻歌を口ずさむとめぐみが嫌な顔して私を見つめていた。

それでも今の私は上機嫌なのだ、だからそんなめぐみに言い返す言葉すら見つからなかった。

部屋に入ると、アクセサリーケースを取り出し、

ベッドの横に立てかけてある全身が入る鏡の前に立ち尽くし、今付けているネックレスを取ると無造作にケースの上に置いた。


ケースに置かれたそれは春樹から1か月前に買って貰ったもの。

何か月もおねだりして買って貰ったそれは、まるで用なしのように私の手によって雑にケースの中に入れられる。


そして新しく首に付けたのは、さっき流奈からプレゼントで貰ったネックレス……。


「なんか大人っぽい……」

デコルテで丸いコインが光る放つ。

鏡に映ってる私の表情は、ほころんでいて自分のそんな顔を見るのは久々で少しびっくりしながらも、そんな自分に微笑みかけた。


私のアクセサリーケースに入っているネックレス、指輪、バングルなどは、シルバーばかりで、ゴールドのアクセサリーは付けたことがなかった。

でも、流奈と言えばゴールド、いや金ネックレスをいつも付けている。

だから、きっと迷わずこのゴールドのネックレスを手にしたに違いないと思うと、それがまた嬉しかった。


ゴールドのネックレスは意外にも日焼けした私の肌に馴染んでいた。


そのまま鏡の前で座り込み携帯を取り出すと、流奈へメールを作成した。



[大事にするね♡]

たったそれだけの文字を打ち終わると携帯を閉じ、部屋に掛かっている時計を確認をすると、私はお風呂場へと急いだ。