「あれ?ど……して?ちょっと待って」

「だって奈月明日誕生日でしょ?だから」

「え?!あ!そう……だけど、てか流奈どうやってきたの?住所だけでわかるの?」

そう、確か流奈の家に泊まりに行ったときにお互いの住所を教え合ってはいたけど、流奈は何かにメモをしていた記憶すらない。

うちに来たことも、もちろんないが、何より地元にすら来たことがないと言っていたのに……

どう考えても、目の前に流奈がいることが不自然なのである。


流奈は、ニヤニヤしながら「びっくりしたっしょ?その奈月の顔!ウケる」

とにかく私の驚き具合に喜んでる彼女がいた。

そんなはしゃいでる流奈も見て、なんだか私までもが顔がニヤついていた。


「あったり前じゃん!でもどうやって?」

「雄也に連れてきてもらった。あいつ仕事であちこち行ってるから道詳しいんだよ」


"あ!あの噂の伝説の彼氏か"

そう思い、興味本位で辺りを見回したが、そこに姿はなかった。


「どこにも見当たらないけど」

「単車うるさいから、近くの公園で待ってもらってるんだカナリの近所迷惑になるだろうと思って」

「ヤンキーのくせに、優しいご配慮ありがとうございます」

「うるさ!ヤンキーだからその辺りちゃんとしてんだって!ははは」

当たり前の日常が、流奈が目の前にいるだけで、楽しいものになる。

そして少し会えてなかっただけなのに、懐かしくも感じなんだかくすぐったい気持ち。

「奈月!それより早くプレゼント見て」

「えーーー!一人で開けたいのに」

「えーーー!目の前で開けて貰いたいのに~!!」

ぶつぶつ言いながら、流奈が差し出してくれた小さな黒い箱が私の手に渡る……

その瞬間、なぜだか温かい気持ちになった。