心配症の彼、春樹がきっと連絡がこないことに心配して訪ねて来たに違いない。
着崩れたジャージを直しながら、乱れた髪を手ぐしで整えると、玄関のドアを開けた。
「ほんと~っにごめん!!」
両手で手を合わせ、申し訳なさそうに顔を見上げれば「えっっーーーーっ!!!」そのままその手で口を塞いだ。
んっ?
やっぱり寝起きの私の脳内はよく動くことが出来ないようで……
それでも必死に理解しようと試みている。
目の前ではクスクスと笑っている姿が私の目にはっきり映っていた。
「流奈……」
「あーーー居た!良かったー」
それでも状況を理解するのには時間がかかってしまっていて、ただ茫然と立ち尽くすのが精いっぱいだった。
「サプラーーイズ!!」
再びその声と共に、パーーーンッ!!!と大きな音がして「キャーッー!!!」と大声を張り上げると「そんなにびっくりしなくても!!」と流奈が苦笑いをしている。
そんな流奈の手にはクラッカーが残っていた。
「サプライズだよっ!!」
ニコニコ嬉しそうに、紙袋に手を入れゆっくりと箱を取り出す姿を 、私はキョトンと見ているだけだった。
ただただあまりに突然な訪問に、クラッカーの大きな音に
目覚めた私の頭じゃ上手く整理されていなくて……
それでも流奈が目の前で優しく微笑んでいる。
光沢感があるエンジ色のリボンがかけられている
上品そうな黒い小さな箱。
それを手に持っているのは"流奈"だった



