「ただいま」

そう玄関に入るなり小さく呟いたけど、私の声に誰も反応することなんてなかった。

そのまま自分の部屋に入るとジャージにさっさと着替え、大きなため息と共にベッドへダイブした。

手を伸ばしベッドの上に置かれているコンポの電源を入れると好きな洋楽を流す……

この瞬間こそが最高だと思ってしまう。

私はそのまま静かに目を瞑った。


「起きろよ」

「ん……っ、痛〜ぁ……なに……」

重たい瞼を一生懸命開けると、そこにはめぐみが居て、私の体を雑に揺さぶっていいる。

どうやらあのまま寝てしまったようで……


それでも、なぜめぐみが私の部屋に居て、私を険しい顔で揺さぶっているのかが、まだ理解出来ていない。

「痛いってば……」頭はまだボーとしているが、めぐみの起こし方の雑さに苛立ちが募る。

「玄関に来てるよ」

え?

玄関?キテル……?

もっと、分りやすく説明してよ!!なんて思ったが、それを口にすればまた面倒くさいことになると思い「分かった」とだけ言うと、めぐみは部屋から去って行った。

来てる?

あーーー!頭の中によぎったのは彼。
約束していたっけな?なんて携帯を確認してみたが、着信さえもない。

それどころか、家に着いたのメールする約束をしていたのを忘れて寝てしまっている。

「やばっ……!!」きっと心配して来たのかもしれないと、部屋から勢いよく出て玄関へと向かった。